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絵本「さよならをいえるまで」から広がる世界

 私が小学校5年生のとき、我が家に仔犬がやってきました。雑種でしたが、スピッツの血が入っているようにも見える、白地に茶色模様。コロコロしているから「コロ」と名付けました。

 途中、建て替えに伴う一時期的な引っ越しを経験したり、近所の犬に噛まれたりといろいろなことがありましたが、とても優秀な番犬でした。

 お医者さんにかかることもなく健康そのもの。結婚後も何度か実家に里帰りするとコロが出迎えてくれたものです。かなりのおじいさんになっていましたが、覚えているんですよね。シッポを振って喜んでくれました。

 「息子が生まれたら、息子を連れてコロに会えるかも」という期待もありましたが、それは叶わず。私自身も妊娠中毒症の一歩手前状態の臨月でしたので、実家に帰ることはできず、コロを看取ってやることはできませんでした。

 ただ、コロが亡くなったあと、しばらく家の中に何かがいるような気配がしたのも事実。説明はできませんでしたが、あれはコロだったのではないかと思うのです。

 ということで、今回紹介する絵本は「さよならをいえるまで」です。

 

 

絵本の表紙絵と感想・考察

 

さよならをいえるまで
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おとうさんと ハリーの ところへ、こいぬが、やってきました。
ぴょん、ぴょん、ぴょん!
こいぬは バッタみたいに ジャンプしています。
だから、なまえは、「ジャンピー」に しました。

絵本「まっくろネリノ」冒頭より

 

 ハリーとジャンピーは大の仲良し。そのうち、ジャンピーは大きくなると、ハリーの宿題も手伝ってくれるようになりました。また、ジャンピーは、夜になるとお父さんの目を盗んでハリーのベッドにやってきました。ジャンピーは、いたずらっ子みたいに目を輝かせながら、ハリーと一緒に過ごすのです。

 ある日。ハリーが学校から帰ってくると、いつも出迎えてくれるジャンピーの姿が見えません。お父さんが、玄関に腰掛けていました。「話があるんだ、ハリー」と、お父さんは言います。___

 冒頭の話題と、絵本のタイトルからこのあとの展開が想像できるかと思います。その想像は間違っていません。ハリーは、ジャンピーが不慮の事故で死んでしまったことをお父さんから聞かされます。ジャンピーの死をなかなか受け入れられないハリー。

 しかし、ハリーはハリーなりに現実と向き合い、ジャンピーの死を受け入れ、乗り越えていきます。このお話は、最初の数ページの段階でジャンピーの死が描かれています。大半は、ジャンピー亡き後のハリーの葛藤を中心とした心情が丁寧に描かれおり、涙ポロボロの状態のなか読みました。

 愛するものの死。絶対に避けては通れません。相手が子どもだからといっても、誤魔化すこともできません。

 このお話のハリーは10歳前後でしょうか。10歳のハリーにも愛するものの死を受け入れるだけの強さは備わっています。もちろん、何かあれば、周りの大人たちも手助けはしますが、基本はハリーを見守るスタンスです。

 とても静かなお話です。静かすぎるゆえ、涙が止まりませんでした。でも、不思議と読み終えたあと、「ハリー、もう大丈夫だね」と言えるような気がしました。

 この「さよならをいえるまで」の原題は、「HARRY AND HOPPER」です。HOPPERが原書での犬の名前なのでしょう。原書のタイトルには「愛するものとの別れ」を予想させる言葉は使われていません。

 おそらく。。。翻訳するときに何かしらの理由で、この邦題がつけられたと思います。作者としては、「子どもたちに手にとって読んでほしい」という思いもあったのかもしれませんが、それは私の想像の域を超えません。

 作者はマーガレット・ワイルド。絵本「キツネ」の作者です。このお話を読んだら、あの難解でいまだに理解しきれていない「キツネ」を読み直したくなりました。

 まずは、大人の皆さんに手にとって読んでいただければと思います。読んでくださいね。

 

  • さよならをいえるまで
  • 原題 HARRY AND HOPPER
  • マーガレット・ワイルド  作
  • フレヤ・ブラックウッド  絵
  • 石崎洋司  訳
  • 精興社
  • 2010年6月発刊(原書は2009年発刊)
  • 👑ケイト・グリーナウェイ賞(2010年)
  • 対象→ 小学校高学年から、大人向け
  • 季節→ いつでも

 

作者の他の作品紹介

 作者のマーガレット・ワイルドは、南アフリカ生まれ。1972年にオーストラリアへ家族とともに移住し、キャンベラにあるAustralian National University卒業後、フリーのライターとして働き始めます。16年間児童書の編集に携わったあと作家へ。2000年に発刊された絵本「キツネ」では、日本絵本賞翻訳絵本賞(2001年)を受賞しました。

 

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表紙 絵本紹介(データベースより)
この本をかくして  ばくだんが図書館にあたって、まちはもえてしまった。のこった本をつつみながらピーターのおとうさんはいった。だいじなことなんだ、ぼくらがどこからきたか…戦争がすべてをうばっていくなか、だいじなものをかくしながら、どうやってひきつぐのか。その知恵と生命力に満ちた、一冊の本が、ここにある。この絵本は読みました。
💬 重い内容ですが、一度は手にとって読んでもらいたい一冊です。
キツネ

野火で羽を傷めたカササギはイヌに助けられ、生きる希望を見いだす。無二の親友となったイヌとカササギだが、ある日、孤独を抱えたキツネが現れると何かが狂いはじめた。カササギの心に起こる動揺…。友情、裏切り、嫉妬、孤独。人間の性ともいえる様々な感情がうずまく。生きることの喜びと哀しみを凝縮した、ワイルド&ブルックス渾身の作品。
💬 読みづらく難解な印象を受けるお話ですが、何度も読み返したい衝動にかられる絵本です。

ぶたばあちゃん

ぶたばあちゃんと孫むすめは、ふたりが知っている、いちばんいいやり方で「さよなら」をいいました。生きることと愛すること、あたえることと受け取ること、ぶたばあちゃんの死を通して様々なことを教えてくれる絵本。
ライオンのひみつ としょかんのいりぐちにすわっているせきぞうのライオン。ひんやりとつめたいからだにおそろしげなかお、としょかんにやってくるこどもたちはそばへいこうともしません。でも、たったひとりライオンのそばにやってくるおんなのこがいました。

 

 一方、絵作者のフレヤ・ブラックウッドは、1975年生まれのイラストレーター。大学卒業後、映画製作に興味を持ち、数年間、特殊効果の製作会社で働いたのち、2002年より本格的に絵本を描き始め、現在に至ります。なお、2001年〜2003年まで、映画「ロード・オブ・ザ・リング」3作の特殊効果に携わっています。

 今回紹介している絵本「さよならをいえるまで」では、優れた絵作者に贈られる絵本賞「ケイト・グリーナウェイ賞」を受賞しています。

 

www.mahiruehon.info

 

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表紙 絵本紹介(データベースより)
おかあさんの顔 シボーンは、なくなってしまったおかあさんの顔をどうしても思いだせません。おかあさんの手のぬくもりや声はおぼえているのに…顔だけが思いだせないのです。ある日、公園で出会った女の人に、さびしさを伝えたシボーン。「鏡を見ればいいのよ」と女の人に言われて、シボーンが鏡をのぞくと、そこにあらわれたのは…!?目には見えない愛のかたちを描いた、ロディ・ドイル初めての絵本。
モーディとくま わがままモーディは、なんでもかんでも、くまさんにおねがいします。そんなモーディを、くまさんは、とてもやさしくうけとめます。おしゃまなモーディとやさしいくまさん、とってもなかよしのふたり、きょうはなにをしているかな?オーストラリア児童図書賞2011年受賞作。翻訳は、直木賞作家の角田光代
だいすきだっこ ママ、パパ、おにいちゃん、いもうと、犬のチャミ…「だいすきだっこ」の輪がひろがる、たのしいおやすみまえのひととき。「ねるまえに『だいすきだっこ』、してぇ」「あら、こまった。ママの『だいすきだっこ』は、きょうはさいごのいっこしかのこってないなぁ。これをあげると、うりきれになっちゃうなぁ」「んーとね、じゃ、そのさいごのいっこ、かしてくれない?あとでかえすから」みんなと“ぎゅっ”とする、心あたたまる絵本。2012年オーストラリア児童図書賞受賞。
エイミーとルイス エイミーとルイスはいつもいっしょ。ママにおしえてもらった、とくべつなことばでいつもおたがいをよびあいます。けれどあるひ、エイミーは、とおくにひっこすことになりました。ずっと、ずうっととおいところに。ちきゅうのうらがわくらい、とおいところに。

 

 

おまけ  

  絵本「まっくろネリノ」の作ヘルガ・ガルラーも映画製作に携わっていましたが、日本では絵本作家が絵本以外の映画製作に携わる。。。というケースは少ないように思います。

 参考までに、今回紹介した「さよならをいえるまで」の絵作者、フレヤ・ブラックウッドが映画の特殊効果制作に携わった作品を紹介します。いずれもニュージーランド映画のようです。

 

Load of the Rings 3部作(2001−2003年)

 

 皆さんご存知の「ロード・オブ・ザ・リング」。三部作全ての特殊効果に携わっていたようです。私も当時ハマって観ていた記憶があります。

 

Zombie Movie (2005年) 💬苦手です。。。

 

Blackspot(2008年)💬怖そうです。。。